商品名 子どものお小遣い教育|貯金習慣を身につける家庭の工夫
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「お金ってどこからくるの?」子どもの疑問から始まる“お小遣いの教育”

子どもが小学1〜2年生になる頃、お店でおもちゃやお菓子を見つけると「買ってほしい」と言うようになります。そのとき親が「今日は無理だよ」「お金がないから」と言うと、子どもは不思議そうな顔をします。「お金ってどうやって手に入るの?」「なんでうちはそんなに買えないの?」と聞かれて戸惑った経験がある家庭も多いでしょう。

実は、このタイミングこそが、お金の教育を始める絶好のチャンスです。特別な教材がなくてもいい。家庭での“お小遣い”が、最初の金融教育になります。ただ「渡す」だけではなく、「どう使うか」「どう残すか」「失敗から学ぶか」を一緒に経験していく。その過程が、貯金習慣やお金の価値を理解する力になります。


最初に考えるべきことは「いくら渡すか」より「何のために渡すか」

お小遣い制度を始めるとき、最初に迷うのが金額です。ただ、本当に大切なのは「金額」ではなく、「どんな目的で渡すのか」を親と子で共有しておくことです。

例えばこんな考え方があります:

  • お金の大切さを知ってほしい

  • 欲しい物をすぐに買うのではなく、貯める経験をしてほしい

  • お金を使うことには責任が伴うと知ってほしい

  • 失敗もしていい、でも自分で考えて決める習慣を身につけてほしい

この“目的”が決まっているかどうかで、その後のお金との向き合い方が変わります。ただお小遣いを渡して「貯めなさい」は、子どもには意味が伝わりません。まずは親自身が、何を学んでほしいのか明確にしておくことが大切です。


お小遣いの渡し方には3タイプある

それぞれの家庭の考え方や子どもの性格によって、お小遣いの制度は変わります。代表的なのは以下の3つです。

● ① 毎月一定額を渡す「定額制」

毎月同じ日に、決まった金額のお小遣いを渡す方法です。

使いすぎたら、次の月まで待たなければいけない。足りなくなったら、貸し借りではなく計画性を考えるきっかけになる。お金の管理を身につけやすい制度です。

● ② お手伝いや成果に応じて渡す「報酬制」

家のお手伝いをすると1回いくら、といった形で報酬として渡す方法。

たとえば「食器洗いをしたら50円」「お風呂掃除で100円」など。働くこととお金が結びつきやすく、労働の価値を学びやすい反面、「やらなきゃ損」「お金にならないことはやらない」という考えにならないよう注意が必要です。

● ③ 日常+成果で差をつける「ハイブリッド型」

基本の金額は毎月渡しつつ、特定の手伝いや目標達成で追加のお小遣いが得られる方法です。

「家族のためにやる家事は無償」「特別な手伝いは報酬あり」という線引きができると、家族の一員としての役割とは別に、自主性や責任を育てるバランスがとれます。


わが家の体験:最初は失敗続きだった“お小遣いデビュー”

うちの子が小学2年生になった春、初めて毎月500円のお小遣いを渡しました。最初の月、渡して3日で全部駄菓子とガチャガチャに消えました。翌日には「また欲しい」と言い出し、親としては「もう使ったの?」「来月まで無いよ」と言うしかありませんでした。

最初の1〜2ヶ月は、正直こちらもイライラすることが多かったです。でも、使えない期間を経験したことで、子ども自身が少しずつ変わっていきました。

  • 1ヶ月目:渡したらすぐ使い切る

  • 2ヶ月目:少しだけ残して、友達とアイスを買う用にとっておく

  • 3ヶ月目:100円ショップで消しゴムとシールを買い、150円残す

  • 4ヶ月目:残したお金が貯まって、初めて自分の本を買った

この経験から感じたのは、「失敗をさせてよかった」ということ。親が口出ししすぎず、でも見守っていることを伝えると子どもは少しずつ考え始めます。

お小遣い帳は「お金の記録」ではなく「考える力」を育てる道具

多くの家庭でぶつかる壁が、「お小遣いを渡したけど、ちゃんと管理できていない」「何に使ったか本人も覚えていない」という悩みです。実は、お小遣い教育で大切なのは、保存することよりも“記録する習慣”です。そこで役に立つのが、お小遣い帳や家計ノートの子ども版です。

最初は数字ばかりの記録ではなく、簡単なもので構いません。

  • いつ

  • 何を買ったか

  • いくら使ったか

  • いくら残ったか

これだけで十分です。

さらに慣れてきたら、1行だけ「買ってよかった」「少しもったいなかった」と気持ちを書く欄を作ってもいい。これは単に家計簿の真似ではなく、“お金を使う前後で考える習慣”を身につける練習になります。

親が毎回チェックしてダメ出しをすると続きません。「今日、ちゃんと書いたね」「あれ、残ってきたね」と小さな変化を一緒に喜ぶ方が、子どもはお金を前向きに学び始めます。


貯金箱だけでは足りない?「お金の3つの居場所」をつくってみる

お金はすべて貯金箱に入れてしまうと、「使う」「貯める」「ためらう」といった感覚がぼやけてしまいます。そこで役立つのが“3つの箱”です。これはアメリカや北欧の学校でも取り入れられている方法です。

  • 使うお金(今月使ってもいい分)

  • 貯めるお金(ほしい物・将来のために)

  • ゆずるお金(募金・寄付・人のために使うお金)

たとえば、お小遣い500円をもらったら、

300円→使う用、150円→貯金、50円→ゆずる箱へ…と分けます。

「なんで他人のためにお金を使うの?」と聞かれることもありますが、特別な説明はいりません。小さな募金を経験すると、子どもは意外なほど素直に「ありがとうと言われるのって嬉しい」と感じるものです。

もちろん、無理に3つに分けなくても構いません。大事なのは、“お金には行き先がある”ということを体感すること。その体験が貯金の意味を強くします。


ゲーム課金・お菓子・ガチャガチャ…子どもが失敗した時、親はどうする?

「全部使ってしまった」「買ったけど後悔してる」――そんな時、親はどう伝えればいいのでしょうか?よくあるのが、「だからちゃんと貯めなさいとあれほど言ったでしょ」「無駄遣いばっかり」と怒ってしまうパターンです。でも、それでは子どもは“怒られた記憶”しか残りません。

大切なのは、失敗のあとに「どう思った?」「次はどうしたい?」と、子どもが自分で考える余白を残すことです。

実際の会話の例を挙げると:

子「全部ガチャで使っちゃった…来週の遠足のおやつ、買えない」

親「そっか。どうしようかね?困ったね」

子「うん…。おやつは必要だから、今月の分はもう使えないよね」

親「そうだね。じゃあ来月は何か変えたい?」

子「100円残すようにする」

ここで親が「じゃあ貸してあげる」「今月だけ追加であげる」としてしまうと、失敗が経験になりません。困ったことを一度味わうからこそ、お金の使い方が変わっていきます。


放っておくのとも、管理しすぎるのとも違う “ちょうど良い距離感”

親がすべて決めると、子どもは自分で考える力が育ちません。逆に、完全に放任すると、気がつけばスマホゲームに何千円も課金していた…ということも起こります。

大切なのは、親はルールを見守りながら、決定権は子どもに委ねるという姿勢です。

例えばこんなルールなら自然に続く:

  • 月初にお小遣いを渡す日は必ず家族で確認する

  • 追加のお金は渡さないことを、親も子もルールとして守る

  • お小遣い帳は「見せなさい」ではなく「一緒に見よう」と声をかける

  • 何に使ったか責めるのではなく、「どうだった?」と感想を聞く

これだけで、親子の間に“お金の話をしても良い空気”が生まれます。


中学・高学年になったら「目的のある貯金」を経験させる

小学生の高学年になってくると、ただ貯めるだけのお小遣いでは続きません。欲しいものや目標を一緒に設定して、貯める意味を子どもが意識できるようになると、より現実的な金銭感覚が育ちます。

例えば:

  • 3ヶ月で2,000円貯めて、好きな文房具・ゲームソフトを買う

  • 修学旅行の自由費を自分で用意する(半額でもOK)

  • 家族旅行の際、自分のお土産代だけは自分のお金で払う

こうした経験をすると、自然と使い方に慎重になります。「お金は勝手に湧いてくるものではない」という感覚が、口で説明するよりも強く心に残ります。


中学生になったら「お金の使い道+時間の使い方」もセットで教える

中学生になると、スマホ・SNS・友達との外出・ゲーム課金など、使える場所が一気に増えます。このタイミングで大事なのは「お金と時間は似ている」という感覚を伝えることです。

  • どちらも“自分の選択”で減っていく

  • どちらも“本当に必要なもの”に使うと満足度が高い

  • どちらも“一度使ったら戻ってこない”

「YouTubeをダラダラ見る時間」「無意識に使ったお金」は、あとから後悔することが多い。親が言葉で・時には自分の失敗談で話してあげると、子どもなりに感じ取っていきます。


親がよく後悔する3つの失敗

  1. 全部口で説明してしまうこと

    「お金は大事だよ」「貯金しなさい」だけでは身につきません。経験することが大事。

  2. 管理しすぎること

    レシートを全部チェックしたり、「それは買っちゃダメ」と言い続けると、お金の意味は“怒られる理由”になってしまう。

  3. 親自身が浪費していることに気づいていない

    子どもはよく見ています。「お母さんは毎日コンビニでコーヒー買ってるのに、どうして僕にはダメなの?」と気づいた瞬間から、言葉は届かなくなります。


おわりに:お金の教育は「正解を教えること」ではなく「一緒に考えること」

お小遣い教育のゴールは、貯金ができる子にすることではありません。

自分で考えて、自分で選んで、失敗も成功も経験できる人に育てることです。

お金は生きるために欠かせない道具であり、時間や努力、気持ちとも深くつながっています。だからこそ、一気に覚えるのではなく、暮らしの中で少しずつ、失敗しても立ち直れる安心を用意しながら伝えていくことが大切です。

今日のお小遣いの使い道が、数年後の人生の選択と地続きになっている――そう思うと、親も子も、少しだけお金との向き合い方をやさしくできる気がします。