片付けてもすぐ散らかるのは「性格のせい」じゃない

部屋を片付けても、次の日には元通り。リビングのテーブルには郵便物や子どものプリントが重なって、キッチンのカウンターにはバッグや充電器の定位置が決まらず散らかっていく。そんな毎日に、「私って片付けが苦手なのかな」と落ち込んでしまうことはありませんか？

実は、片付かない原因の多くは性格や努力不足ではなく、「戻す場所が決まっていない」「収納までの動作が多い」「家族が使いやすい仕組みになっていない」ということがほとんどです。

どれだけ丁寧に片付けても、仕組みが整っていなければ、散らかるのは自然なこと。反対に、家族が自然に元の場所へ戻せる収納の仕組みがあれば、特別気合いを入れなくても片付いた状態を保てます。

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片付けの第一歩は「収納グッズを買うこと」ではない

片付けよう！と思うと、まず収納ボックス・カゴ・ラベルシールなどを買いに行きたくなります。けれど、本当に最初にやるべきことはそこではありません。

収納を考える前に必要なのは、「何を持っているかを把握すること」。必要のないもの、使っていないもの、同じ物がいくつもあるものを洗い出し、持ち物を適正量に近づけることが大切です。

● まずは“全部出す”よりも“よく使う場所から”

よくある方法は「全部出して仕分ける」ですが、時間も体力もかかります。子育て中や仕事のある暮らしではなかなか現実的ではありません。そこでおすすめなのは、次の順番です。

• 毎日使う場所（キッチン・洗面所・リビング）から始める

• 引き出し1つ、棚1段など“小さな範囲”だけ片付ける

• 「使っていない」「なくても困らない」と感じるものから手放す

気を張らず、10〜15分で終わる場所から始めるのが続くポイントです。

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「戻しやすさ」で収納を決めると散らからない

収納の目的は“きれいにしまうこと”ではありません。“散らかりにくい状態を保つこと”です。そのために大事なのが、出しやすさより戻しやすさ。

片付かない家によくあるのは、以下のようなパターンです。

• モノをしまうのに「引き出しを開けて、箱を出して、中にしまう」など動作が多い

• 高い位置や奥の方など、戻す場所が遠い

• 家族がどこに戻せばいいかわからない

つまり、「しまうのが面倒」＝また元の場所に置かずに放置→散らかるという流れが起きやすくなります。

● 収納づくりで意識したいポイント

「きれいにしまわれているか」より、「10秒で元に戻せるか」の方が、暮らしには役立ちます。

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家族が片付けてくれないのは“やらない”のではなく“できない”だけかも

片付けが続かない理由のひとつは、「自分は片付けたいけれど、家族がすぐ散らかしてしまう」という悩みです。でも、意外と多いのは「家族がめんどくさがっている」のではなく、「戻す場所がわからない・遠い・手数が多い」というケース。

たとえば、

• 学校のプリントの置き場所が決まっていない

• ティッシュ・ハサミ・充電器など、リビングでよく使うものの住所がバラバラ

• ゴミ箱が遠くて、ついテーブルに置きっぱなしになる

こういった小さな“戻しにくさ”が積み重なることで、散らかりやすくなっています。

● 家族も片付けやすくなる工夫

• 学校や保育園のプリント用に“無印の書類トレー”や“クリアファイル”を家族ごとに設置

• リビングの棚の一番下を子どもの収納場所にして「ランドセルはここ」と決める

• ゴミ箱・ティッシュ・ウェットティッシュなどは使う場所の近くに置く

「片付けて」ではなく、「ここに置けばいいよ」というだけで、家族の動きが変わります。

リビングの収納は「隠しすぎない」「動線の中心に置く」がポイント

家の中で一番散らかりやすい場所がリビングです。家族全員が集まり、郵便物、リモコン、子どものおもちゃ、プリント、充電器など、何でも集まってしまいます。ここを整えるには、“隠す収納”より“すぐ戻せる収納”を優先することが大切です。

● リビング収納で意識したいこと

• 収納家具は“奥行きの浅い棚”のほうが使いやすい

• フタつきボックスより、“カゴにいれるだけ”の収納

• リモコン・文房具・充電ケーブルなど、定位置を1つにまとめる

• 片付けやすくするため、収納は“腰の高さ〜目線の高さ”でそろえる

たとえば、テレビ台の横に小さなカゴを置き、リモコン、ゲームのコントローラー、テレビの説明書まで収納しておくと、「あれどこいった？」が減ります。蓋つきBOXをやめて、見える収納にすると、戻すハードルが一気に下がります。

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キッチン収納｜“詰め込みすぎない”“見渡しやすい”が家事効率を変える

キッチンは家の中でモノが最も多い場所。調理器具、食材、調味料、ストック品など、1日数回は使う空間だからこそ、探すストレス・戻す面倒をなくすことが重要です。

● 毎日使うものは「出しっぱなしでもOK」の場所に

• 包丁、まな板はスタンドに立てて“1秒で取れて1秒で戻せる”

• よく使う調味料はコンロ横にトレーでまとめる（塩・砂糖・油など）

• フライパンは重ねずに立てて収納（ファイルボックスや専用ラック）

片付いたキッチンというと、何も置かれていない美しい空間をイメージします。でも実際には、「使いやすさ＞見た目の完璧さ」 で考えたほうが家事は楽になります。

● 吊り戸棚・シンク下の収納は“カテゴリーごと”に分ける

箱やカゴに「調味料ストック」「水筒グッズ」などと分けておくと、減った量も把握しやすく、家族も手伝いやすくなります。

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子どもの片付け力を育てるには「目線の高さに置く」「ラベルをわかりやすく」

子どもに「片付けて！」と言ってもなかなかできないのは、片付けの方法が理解できていないから。大人が整理した収納は、子どもにとっては難しいことも多いです。

● 子ども収納のコツ

• おもちゃ収納は“ざっくり分け”でOK（ぬいぐるみ・ブロック・絵本 など）

• 引き出しより“フタのないカゴ”や“蓋なしボックス”に入れるだけの収納

• ラベルは文字ではなく「絵・写真・色」で伝えると効果的

「ここに入れる」とわかりやすくすることで、自分から片付けられるようになります。

● “戻せる収納”を作ると、子どもは自然と片付けるようになる

子ども部屋に収納を作ってもリビングに持ってきてしまうなら、遊ぶ場所＝収納場所に変更します。リビングのテレビ横やソファ裏に、小さなカゴやワゴンを置いて「遊び終わったらここ」と決めると、散らからないだけでなく子ども自身も管理できるようになります。

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クローゼット収納｜たたむより“かける・立てる・見える”のが続けやすい

洋服の収納が散らかる原因は、たたむことが面倒・時間がない・衣替えが大変という3つが多いです。そこで大切なのは「たたまない収納」「見晴らしの良いクローゼット」をつくること。

● 続くクローゼットの作り方

• よく着る服は「ハンガー収納」で掛けるだけ

• Tシャツやズボンは、引き出しに立てて収納（重ねずに見えるように）

• ハンガーはすべて同じ種類に揃えると、服が取りやすく戻しやすくなる

• 着ない服を「いつか着るかも」でとっておかない

● 衣替えをなくす方法

クローゼット内を「春夏ゾーン」「秋冬ゾーン」で分けておき、シーズン外の服も一緒に保管。収納ケースを入れ替える作業をなくすと、衣替えのストレスが消えます。

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スッキリした部屋を維持するために大切なことは「完璧を求めないこと」

片付けがうまくいかない人ほど、「きれいな部屋にしなきゃ」と完璧を目指しがちです。でも、毎日暮らしていれば物も出るし、散らかるタイミングもあります。

大切なのは “散らかっても、すぐ戻せる状態” を維持すること。完璧な収納より、片付けるのがラクな仕組みの方が、毎日穏やかに暮らせます。

たとえば、

• 来客前に10分で片付く家

• どこに何があるか家族全員がわかる収納

• 散らかったとしても、明日リセットできる安心感

そんな“余白のある暮らし”を作ることこそ、収納と片付けの本当の目的です。

毎日続けられる片付けの習慣づくりは「1日5分」と「置きっぱなしにしない仕組み」

片付けを続けるために必要なのは「気合い」や「片付けが好きになること」ではありません。大切なのは、“片付けるタイミング”を暮らしの中に組み込んでおくことです。

● 無理なく続く片付けのタイミング例

ポイントは「全部片付けよう」と構えるのではなく、“目に入ったものを、元の場所に戻す”だけにすることです。

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「ものを増やさない暮らし」が片付けやすさをつくる

片付けても片付けても散らかる原因は、“ものが多すぎるから”ということもあります。収納術よりも先に意識したいのは、ものを増やしすぎないこと。無理な断捨離ではなく、家に入れるものを少しずつ選んでいくだけでも十分です。

● 買い物の前に考える3つのこと

1. 今あるものと役割がかぶらないか

2. 家のどこに置くか、すぐ思い浮かぶか

3. それを手に入れたら、本当に暮らしが楽になるか

「安いから」「かわいいから」ではなく、「必要だから買う」習慣に変わると、ものの数が自然と減り、収納に余白ができます。

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“1軍だけを置く収納”に変えると、家事も気持ちもラクになる

タンスや引き出しの中には、着ない服、使わないタオル、読まなくなった雑誌…そうした“2軍のもの”が多く紛れています。この状態だと、必要なものがすぐ取り出せず、時間も気持ちも疲れてしまいます。

そこで大事になるのが、今使っているものだけを収納の前列に置くこと。使わないものは別の場所に移動するか手放すことです。

• キッチンの引き出し → よく使う菜箸・フライ返しだけを手前に置く

• タオル → 来客用・古いタオルは別のカゴに移しておく

• 洗面所 → 化粧品・ヘアケア用品は“毎日使う順番”に並べる

たったこれだけで、朝の支度や料理の時間のストレスが一気に減ります。

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収納の失敗談と、それをどう変えたか

収納を整える中で「やってみたけど続かなかった方法」もありました。むしろ、そこから学んだことの方が、今の暮らしに役立っています。

● 失敗①：ラベルを貼ったのに家族が戻してくれない

ラベルを貼った透明ケースをたくさん並べたのに、夫も子どもも片付けてくれませんでした。理由は簡単で、「フタを開けて箱を引き出し、しまって戻す」工程が面倒だったから。

→ フタなしのカゴ式収納に変更し、ラベルも文字ではなく“マークや絵”にしたら、自然と片付けるようになりました。

● 失敗②：片付けを完璧にしようとして疲れてしまった

instagramで見た美しい収納に憧れ、収納ボックスを揃えて色味を統一したら、逆に片付けがストレスになりました。揃えることが目的になってしまい、生活の動きに合っていなかったのです。

→ 今は、見た目より使いやすさを優先。色味も無理に揃えず、家族が迷わず戻せる場所を基準に収納を作っています。

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「見えない収納」ではなく「見える・触れる収納」が暮らしを変える

収納は隠すことが正解だと思っていました。でも、隠してしまうと家族が場所を覚えられず、「ママこれどこ？」の連発に。そこで、使う頻度の高いものは“見える収納・触れる位置に置く”ように変えました。

● 具体的な“見える収納”の例

• リビングの棚に、ティッシュ・ハンドクリーム・爪切りなどをまとめたトレー

• 子どもの通園グッズは玄関脇のフック＋カゴ収納

• 調味料はラベルをそろえず、中身が見える容器のままトレー保存

見た目は少し生活感があるけれど、散らからない。家族が自分で戻せる。結果的にそれがいちばんきれいに保てるということに気づきました。

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“夕方のバタバタが減る収納”で家族の空気も変わる

収納を整えて感じたのは、片付いた状態が目的ではなく、そこで暮らす家族の時間が変わることが一番大きいということでした。

たとえば、

• 学校のプリント置き場を作ったら、「ママ、プリント出したっけ？」という会話が減った

• ランドセル置き場が決まったことで、朝の「どこに置いたの！」がなくなった

• 夫もキッチンでどこに何があるかわかるようになり、料理を手伝いやすくなった

片付いているから優しくできるのではなく、片付けに追われずにすむから、優しくできる時間と気持ちが残るのだと思います。

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おわりに｜完璧じゃなくていい。戻せる収納、疲れない暮らしでいい

収納や片付けは、自分を追い込むためのものではありません。

誰かと比べる必要もなく、「家族が暮らしやすいこと」「自分の心が落ち着くこと」が何より大切です。

散らかってもいい。疲れた日はそのままでもいい。

でも、“戻せる場所”さえあれば、明日またリセットできる。

片付けは、家を美しく見せるためではなく、

大切な毎日を、少しでも整えて心地よく過ごすためのもの。

そう思えたとき、収納と片付けは特別なことではなく、

暮らしの一部として自然に続いていくものになります。