■「家事が終わらない」から抜け出すには、頑張るより仕組みに頼っていい
洗濯、料理、片付け、子どもの支度、ゴミ出し。終わったと思ったらすぐ次の家事が待っている。気づけば夜になり、座る時間もないまま一日が終わる。
家事というのは“終わりがない仕事”です。だから、「もっと頑張らなきゃ」と気合で乗り切ろうとすると、ほぼ必ず疲れます。
私も以前までは、夜に洗濯物を畳みながら「今日もソファに座れなかったな…」と感じることが多く、休日ですら休めない。毎日が「間に合わせるだけの家事」で精一杯でした。
でもある日、家事上手な友人に言われた言葉で考え方が変わりました。
「家事ってね、頑張ってやるもんじゃなくて、“勝手に回る仕組み”を作った人が楽になる仕事なんだよ。」
たしかに、テキパキ家事をしている人の家をよく見ると、
・使う場所に使う物があり、
・迷わず家事が進められるように、
・ルールや配置が“習慣化”されている。
家事の負担は、努力ではなく「仕組み・動線・共有」で減らせるものだと気づきました。
■ 家事の仕組み化には「3つの視点」がある
家事をラクにする方法はいくつもあるけれど、整理すると以下の3つの視点に集約されます。
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家事を減らす(やらないものを決める)
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家事を短くする(動線・道具・配置を変える)
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家事を自分だけのものにしない(家族と共有・自動化)
この3つを少しずつ生活に取り入れるだけで、
「自分ばかり家事をしている」「片付けてるのにすぐ散らかる」
というモヤモヤが、少しずつ小さくなっていきます。
■ ① 家事を“やらないと決める”ことから見直す
家事の中には「やらなきゃ」と思っているだけで、実はやらなくても困らないものがたくさんあります。でも育ってきた環境や習慣から、「やらない」という選択肢を知らないだけなのかもしれません。
● 例えばこんな“やらない家事”でも暮らしは回る
| やめたこと | 代わりにした工夫・考え方 |
|---|---|
| 毎日掃除機をかける | → ロボット掃除機に任せる / クイックルだけで済ませる日もOK |
| 洗濯物を毎回畳む | → 家族の下着・タオルは“引き出しにそのまま放り込む”方式へ |
| 夜ご飯は必ず手作り | → 週に1〜2回は冷凍食品・惣菜で「休む日」を作る |
| 部屋干し→畳む→タンスへ | → “ハンガー収納”で畳む工程をなくす |
| お風呂掃除を毎日手洗い | → 浴室乾燥+泡スプレーでこすらず完了 |
“やめる”ことに罪悪感を持つより、“暮らしを続けるための選択”と思うと気持ちがラクになります。
■ ② 家事を短くするには「動線」「置き場所」「回数」を整える
家事に時間がかかる理由は、作業が多いからではなく、探す・戻す・移動する時間が長いからだったりします。
そこを少し工夫するだけで、“家事そのものの時間”はほとんど変わらなくても「早く終わった」と感じられるようになります。
● 家の中の“家事導線”を見直す
| 改善できる場所 | 見直すポイント |
|---|---|
| 洗濯 | 洗う場所・干す場所・しまう場所が遠いと動きが増える。洗濯機の近くに物干しスペースを作ると劇的にラク |
| キッチン | 出しづらい収納は「使わない物が多い」サイン。よく使う調味料はコンロ横、最低限の鍋だけ吊るすなど“取りやすさ優先” |
| 玄関 | マスク・鍵・ハンカチなど“出発前に必要な物”は一箇所に集めて“出かけるセット”に |
| 収納 | 「使う場所に使う物」を置く(例:掃除道具はリビング・寝室・洗面所にも小さく分散) |
■ ③ 家事を“自分だけの仕事”にしない仕組みを作る
「私がやらないと家が回らない」——これは頑張っている人ほど口にする言葉。でも本当にやるべきなのは、自分の負担を増やすことではなく、“家族と共有できる仕組み”を作ることです。
● 家族に家事を頼むのではなく“参加しやすい環境を作る”
| 工夫 | どう変わる? |
|---|---|
| 子どもでも届く高さに服・タオルを収納 | 「ママやって」から「自分でできた!」に変わる |
| ゴミ袋・洗剤・ティッシュのストックは“誰でも見てわかる場所”に | 「どこにあるの?」を聞かれなくなる |
| 旦那さんへは“お願い”ではなく“役割として固定” | 「余裕があるときにやって」ではなく、曜日で分けると続く |
| チェック表・マグネットシートで“見える家事”へ | やった・やってないが見えると不公平感が消える |
「やってよ!」ではなく、“やれるように整える”の方が、家族も動きやすく、自分も疲れません。
■ 家事の負担を軽くしてくれる「道具・家電」の選び方
家事を仕組み化するうえで大切なのは、“頑張る”ことではなく、“勝手に回る状態を作ること”。
そのためには、道具や家電の力を借りることも立派な方法です。
● 実際に使って「生活が変わった」と感じたもの
| 家電・道具 | どうラクになったか |
|---|---|
| ドラム式洗濯乾燥機 | 「洗う→干す→取り込む→畳む」が“洗うだけ”になった。夜に回して朝には乾燥まで終わっているのが本当に助かる |
| ロボット掃除機 | 掃除機をかける時間がほぼゼロに。夜や外出中に動かせるから、床に髪の毛やホコリがたまりにくい |
| 食洗機 | 手洗いしていた頃より水道代も時間も節約。食器をシンクにためずに済むだけで、キッチンのストレスが減った |
| コードレス掃除機・ワイパー | 「気になったら5秒で掃除できる」ストレスをためないための道具 |
| ティファール電気ケトル/電気ポット | 朝のコーヒー・カップスープが1分で。やかんの出番がなくなった |
| 無印・ニトリのソフトボックス収納 | 子どものおもちゃ・タオル・衣類の“投げ込み収納”ができるようになり、片付けやすく戻しやすくなった |
家事を減らすこと=怠けること、ではありません。「暮らしを維持する仕組みづくり」こそが、最終的に家族の時間も心も守ってくれます。
■「散らかる家」と「散らからない家」の違いは“戻す場所”にある
片付けても片付けても、気づけばリビングやキッチンが散らかる。
それは「片付けるのが苦手」なのではなく、そもそも物の住所(定位置)が曖昧なだけであることが多いです。
● 散らからない家づくりのコツ
| 工夫 | 具体例 |
|---|---|
| 使う場所に置く(収納は近くへ) | メイク道具を洗面所ではなくリビングに置く/ランドセルを部屋ではなく玄関横に |
| 片付けやすい収納にする | フタ付きの収納ボックスをやめて、入れるだけのカゴ収納に |
| 「戻すのが面倒」をなくす | ハンガー収納・投げ込みBOX・引き出しは浅いものだけ |
| 物を減らすのではなく“使う物だけに絞る” | 毎日使わない調理器具・使い切れないタオルは一度棚から外して試す |
収納のきれいさより「使っても散らかりにくい家」を目指すほうが、生活はずっとラクになります。
■ 休日に“まとめてやらないほうが”家事は楽になる
「休日はまとめて掃除」「一気に片付ける」
それがうまくいく人もいますが、家族が増えるほど、まとめてやろうとすると失敗しやすくなります。
● 家事をまとめない暮らしの例
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洗濯物はためずに、1日1回少量ずつ
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冷蔵庫の掃除は“大掃除”ではなく、買い物前の3分拭きで済ませる
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お風呂掃除は入浴後に泡スプレーをかけて終了
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床掃除は毎日ロボット掃除機、週末は掃除機+モップだけ
「一気にやる」のをやめて、「少しずつ回す」ほうが、家はいつの間にか整っていきます。
■ 家事の負担を減らしたら、“心の余白”が戻ってきた
家事を頑張ることが、家族のためになると思っていた時期がありました。
でも、仕事・育児・家事でパンパンに疲れている状態では、笑顔も余裕も自然とは出てこない。
家事を仕組み化して、道具に頼り、家族と分担できるようになってから、気づいたことがあります。
「ちゃんと暮らす」って、完璧に家を整えることじゃなくて、家で笑える時間を増やすことなんだ。
夜、ソファに座る時間が10分でもできたら、その日一日は少し違って見えます。
温かいご飯をみんなで食べられるだけで、生活って悪くないなと思える日が増えます。
そのための工夫や道具や仕組みなら、遠慮なく使っていい。
家事は競争じゃないから、ショートカットしたっていい。
暮らしを楽にすることは、家族を大切にすることと、同じ方向にあると思います。

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